『アニー』ストーリー

■ストーリー■

1929年に突然世界を襲った大恐慌後の景気回復もままならない1933年の冬のニューヨーク。ダウンタウンにあるニューヨークの市立孤児院でも、孤児たちがつらい淋しさに耐えながら、一生懸命生きていました。それよりも孤児たちにとってつらいのは、孤児たちの面倒をみているハニガン先生が、ニューヨークの冬の寒さに負けないくらい厳しい女の人だったことです。そんな孤児院に、どんなにつらくてもくじけない、明るく元気な女の子がいました。名前はアニー。彼女の両親は、置き手紙と目印の半分に割ったロケットを残したまま蒸発してしまったのです。両親はいつまでたっても迎えにきてくれませんが、アニーは“いつかきっと…”と信じていました。思いあまったアニーは、両親を探そうと、ハニガン先生が洗濯屋と話し込んでいるすきに洗濯屋のカゴにかくれて脱出。孤児院を抜け出したアニーは、傷ついた犬のサンディと出会います。あてもなく歩き続けたアニーとサンディは、やがて、フーバー・ビルへとやってきました。ここで生活している人は、ほとんどが失業した人々。アニーは人々にたずねてみましたが、残念ながらアニーの両親はいないようです。けれど、アニーは持ち前の底抜けの明るさで、フーバー・ビルの人々を逆に勇気づけてしまいます。そんな、なごやかなひとときに、パトカーのけたたましいサイレンの音が。そして突然、警官たちが現れて、失業者たちの家もとり壊されてしまいました。アニーとサンディも必死に逃げ回りますが、ついにつかまってしまいます。

アニーが、警察に連れられて孤児院に帰ってくると、ハニガン先生が、おしおきをしようと待ちかまえていました。そこに運良く、大富豪のウォーバックス氏とクリスマス休暇を過ごしてくれる子供を探していた、秘書のグレイスがやってきました。グレイスはアニーを気にいり、ウォーバックス邸に連れて帰りました。ウォーバックス邸での暮らしは、優しい人たちに囲まれて幸せいっぱいの毎日でした。最初は女の子の扱いにとまどっていたウォーバックス氏も、次第にアニーを養女にしたいと思うようになりました。そして5番街の有名な宝石店“ティファニー”に注文して、アニーに新しいロケットをプレゼントしようとしました。ウォーバックス氏は、新しいものと引き換えに、アニーのロケットをはずそうとしましたが、ロケットを両親を探す手掛りにしているアニーは必死に抵抗します。両親を想うアニーの言葉に心を打たれたウォーバックス氏は、アニーを養女にしたいという自分の望みはあきらめて、彼女の夢をかなえてあげることにしました。アニーの両親を探すためにFBIから50人の優秀なGメンを借り出したり、ラジオにアニーと出演し、“アニーの両親には5万ドルの賞金を出します”と呼び掛けたりしました。孤児院に、グレイスが、アニーの詳しい情報を聞きにきましたが、ラジオの放送を聞いてアニーにやきもちをやいているハニガン先生は、面白くありません。グレイスと入れ替わりに、ハニガン先生の弟のルースターが恋人のリリィを連れてやってきました。そして3人は、よからぬたくらみを思いつきます。

ウォーバックス氏に連れられて、ワシントンのホワイト・ハウスにやってきたアニーは、持ち前の明るさで大統領のルーズベルトと閣僚たちを勇気づけてしまいました。そこへ、アニーの両親と名乗る数百組の夫婦がウォーバックス邸の前に詰めかけているという電報が…。急いでニューヨークに帰ると、みんな5万ドル目当てのニセ者でした。がっかりするアニーに、追い討ちをかけるようにFBIから、ロケットから両親を探し出すのは不可能という知らせが届きました。ウォーバックス氏は、もう一度、アニーに養女にならないかとたずねます。アニーはウォーバックス氏の申し出を喜んで受け、パーティーの準備がはじまりました。準備がおわり、養子縁組の手続きが始まろうとした時、実の両親と名乗るマッジ夫妻が現れました。ロケットの秘密を知っていることから、今度はどうやら本物のようです。ついに、夢にまでみた本当の両親との対面。しかし、何故かアニーは心から喜べません。ウォーバックス氏やグレイス、そして邸の使用人たちもみんな、アニーと別れるのがつらかったのでした。次の日の朝、アニーが、いよいよ両親と帰る日は、ちょうどクリスマスの日でした。突然、ルーズベルト大統領が、アニーの両親はすでに亡くなっていたという知らせをもって、ウォーバックス邸にやってきました。実はマッジ夫妻は、ルースターとリリィが、ロケットの秘密をハニガン先生から聞いて5万ドル目あてに、アニーの両親に化けていたのです。ようやく、アニーはウォーバックス氏の娘となり、孤児院の仲間たちもかけつけて、クリスマス・パーティーが始まります。孤児たちには大統領とウォーバックス氏から素敵なプレゼントが贈られ、そして、アニーには特別素敵なプレゼントが贈られました。メリークリスマス、アニー!おめでとうアニー!

【1994年公演パンフより】


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